技術的な才能と身体能力に恵まれた男がひたすら野球に打ち込めば上手くなるはずだ。その鈴木が本気で目指し始めたのがメジャーであり、肉体改造にもつながった。

「もっと上の世界に行きたいと思っている。身体を大きくしたのも先を見据えてのこと。トレーニング量はチームトップクラス。栄養面なども勉強して身体を作り直した。太ったのでは、という声もあるがそれはない。ユニフォームで見えないが、Tシャツ姿などはターミネーターですよ(笑)」

「この状況下でのメジャー行きは我慢するかもしれない」

 鈴木を見続けている広島担当記者は、心境に変化が出始めているように感じている。

「メジャー行きを熱望しているし、結果を残す自信も持っている。興味も強く米国で活躍している選手のことで、記者が逆取材されることもある。本人が最も気にしているのは新型コロナウイルス禍での米国生活のこと。メジャー挑戦なら愛理夫人とともに渡米することになるし、将来的には二世誕生もある。家族を生死の危険にさらしてまで野球をできるのかどうか、悩んでいるらしい」

 米国では今でも多くの感染者が発生しており死者も多い。プロスポーツ関係者にも次々に感染者が発見され、中止、延期になる興行も多い。本人がどれだけ注意しても感染リスクが存在するのが現実なのだ。

「確かに少し元気がないように感じる時もある」

 広島球団関係者は最近の鈴木を見て感じる時もあるという。

「1軍定着からがむしゃらに野球をやってきた。チームも3連覇を果たし自分の結果も出ている。野球がまた上手くなって、楽しくてしょうがなかった。メジャー挑戦という夢も現実的なものになっていた。そんな時にコロナ禍で様々な問題が出てきた。気持ちを切り替えて、チームの優勝奪回を強く目指したが、全体的にうまく行かない状態。燃え尽き症候群的な部分もあるのではないか」

 メジャー挑戦は広島を日本一にしてからの気持ちが強かった。その両方が少しずつ遠ざかっている中でのプレーはキツいものがあるのだろう。

「ひょっとすると電撃的な巨人移籍があるかもしれない」

 在京キー局のスポーツ担当者は、昔ながらの巨人の大型補強の可能性を示唆する。

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広島への感謝も強い鈴木誠也