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ハーバードの教授は学生一人ひとりの名前をきちんと覚え、忘れないのだという。ゴールドマン・サックス、マッキンゼー&カンパニー、ハーバード・ビジネススクールを渡り歩いた、ベリタス株式会社代表取締役・戸塚隆将氏の著書『世界のエリートはなぜ、「この基本」を大事にするのか?』から、その理由と名前を覚える3つのコツを紹介する。
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■学生一人ひとりの名前を覚えるハーバード教授
HBS(ハーバード・ビジネス・スクール)の人気教授Jan Rivkin博士。彼はMABプログラムの2年時選択科目の企業戦略論を長年担当しています。彼のクラスは狭き門で毎年何倍もの抽選の中から、運良く当たった学生だけが受講できます。
その人気教授Rivkin氏が昨年日本を訪れました。米国政府がスポンサーとなる、ある調査プロジェクトを任されており、日本市場および日本企業との関連性の中で来日したのです。私は卒業後7年を経て、Rivkin教授の基調講演にもぐりこみました。
そして、講演後に彼のもとに挨拶に行った時です。なんと、その時、Rivkin氏から驚愕の言葉が出てきました。
彼は、私のファストネームと当時のバックグラウンドを覚えていたのです。
自己評価では、Rivkin教授のクラスにおいて、私はとりわけ抜きん出ていた学生ではありませんでした。2年時のコースということもあり、ほどほどに力を抜く術すべを身につけていた自分は、授業に取り組む姿勢や意欲をみても、名前を記憶しておくほどの強い印象を与えた学生だったという感覚はありません。
にもかかわらず、毎年何千人もの卒業生と接してきた人気教授が、一人の日本人学生の名前を記憶しているというのは、どういうことなのでしょうか。
■人間関係は名前を覚えることから
実は、HBSでは、教授は学生の一人ひとりの名前と顔、そしてバックグラウンドを覚えることに、大変な時間と労力を投入しています。
通常のクラスサイズは90人で、階段型のクラスルームの席には、必ず自分の名札を置いて授業に臨みます。教授は、毎回その名札を見て学生を指せばいい話なのですが、ベテランの実力派教授であればあるほど、名札を見ずに学生を当てるのです。