AERA 2020年9月14日号より
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AERA 2020年9月14日号より
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 ウィズコロナでの制限の多い生活が、休校中から再開後のいまも続いている。強い不安やストレスを感じている子どもに起きた異変とは。AERA 2020年9月14日号から。

【要チェック】子供がストレスを抱えていると感じたらどうすればいい?

*  *  *

 ここ数カ月の間、ずっと不安やイライラ、疲労感を抱えている娘が不憫(ふびん)でならない。

 都内に住むフリーランスの女性(44)の小学5年の娘は、3カ月におよんだ休校期間中は、突然大声を出したり、一人で寝るのを嫌がったりすることがあった。女性が食材を買いに出かけようとすると、「ママは外に行けるけど、私はどこにも行けない」と泣きわめき、「なら一緒に散歩に行く?」と誘うと、「散歩したいわけじゃない、友だちに会いたいの!」と言い返す。

 夜はなかなか寝つけないようで、布団の中で新型コロナウイルスへの不安をつぶやく。

「かかったら死んじゃうの?」
「もしママがかかったら私も一緒に入院するの?」

 確かなことがわからない中では安易なことも言えず、娘を安心させてやれなかった。女性は当時を振り返って言う。

「せめてきょうだいがいたら良かったのかもしれないけど、私も仕事をしているので、遊びに付き合ってあげる余裕もない。一人で行き詰まってしまったのかもしれません」

 学校再開が決まり、ホッとしたのもつかの間、学校はこれまでとは違う場になっていた。娘の話では、休み時間に友だちと話していると、先生が飛んできて「離れてね」と注意される。給食も無言で食べ、終わったらすぐにマスクをつける。校庭で遊ぶときはボールや鉄棒は使えず、鬼ごっこもソーシャルディスタンス。休校の遅れを取り戻そうと授業のペースは速くなり、1単元が数日で終了する。音楽や図工など楽しみな授業は削られ、土曜の登校も増えた。コロナ以前は、放課後に元気に遊び回っていた娘は今、疲労困憊(こんぱい)の様子でソファに寝転がっている。(編集部・深澤友紀)

AERA 2020年9月14日号より抜粋