安倍晋三首相の後継を決める自民党総裁選が8日に告示された。3候補が出馬しているが、党内の5派閥が菅義偉官房長官の支持を表明しており、圧倒的に有利な情勢だ。菅氏が注目を浴びる中、中国では「菅直人内閣復活か?」と混同する市民がいるとも伝えられる。名字の漢字が同じという縁がある2人だが、首相の“先輩”として立憲民主党最高顧問の菅(カン)氏は菅(スガ)氏に何を思うのか。話を聞いた。
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――自民党新総裁の最有力候補である菅(スガ)氏について、どんな印象を持っていますか。中央政界入りは菅(カン)さんの方がかなり早いですが、年齢は2歳差です。これまで接点はありましたか。
私は比較的お酒が好きで、多くの自民党の方とも会合などで交流してきましたが、菅(スガ)さんとは、個人的なレベルではほとんど交流がありませんでした。菅(スガ)と菅(カン)って漢字が同じものですから、名前を話題にして会話を交わしたことはありますが、政治的な深い話はほとんどしてきませんでした。菅(スガ)さんは、個人としての能力は認められていますが、総理大臣になるには仲間が要る。しかし彼は、仲間をつくることを一切やってこなかった。なので、彼が総理になれそうなのは、ほぼ100%、二階(俊博・自民党幹事長)さんの仕掛けが成功したに過ぎません。二階さんなくして、こんな政局はまったく起こっていなかったはずです。
――菅(スガ)氏は、総裁選で安倍政権の継承を掲げています。菅(スガ)政権が誕生したら、今後の日本はどうなるとお考えですか。
菅(スガ)さんは、7年8カ月もの間、安倍総理の官房長官として、ほぼすべての政策に関わってきたわけです。私も総理をやりましたから、官房長官がどういう役目だったのかはよくわかります。官房長官というのは総理に入る情報は、ほぼすべて共有します。森友・加計学園問題では財務相の公文書改ざんを安倍総理自らが主導していたという疑惑がありますが、それを一番近いところで見ていた官房長官が、少なくとも総理を止めた形跡はまったく見られません。菅(スガ)さん本人も何も発言していない。これでは、安倍総理と一緒になって公文書改ざんを進めていたと疑われても仕方ありません。