7年8カ月の安倍政権は、あまりにもひどいものでした。菅(スガ)さんは安倍総理のいいところは踏襲して、悪いところは改善していくものかと思ったら、改善点は一言も口にしない。その一方で、報じられるのは、秋田県から上京した後の苦労話ばかり。政策として何を引き継ぎ、何を改めて、何をやろうとしているのかがまったくみえてきません。
菅(スガ)さんに安倍政権時代の政治を変える力がないのであれば、野党であるわれわれがやるしかない。ちょうどいいタイミングで野党の再編ができました。新しい野党の党首と菅(スガ)総理をトップとした政権を争う選挙がそう遠くない時期にやってくるでしょう。野党にとってはチャンスだと思っています。
――菅(カン)さんの首相在任時にに起こった東日本大震災、福島第一原発事故と、現在起こっている新型コロナウイルスの感染拡大は、国家の危機という点では共通しています。国家の危機におけるリーダーの役割とは何でしょうか。
危機事態における総理大臣と官房長官の役目は、専門家の意見を聞きながら、実態はどうなっているのかを正確に把握し、どう対策を打つかを「判断」することです。安倍さんと菅さんは感染症の専門家ではないですし、私も原発の専門家ではありません。だから、まずは専門家の話をちゃんと聞く必要があります。ただ、そのうえで、何を最優先にすべきかという最終的判断は、総理がするしかないのです。危機が起きれば、あらゆる役所を動かさなければいけない。場合によってはあらゆる予算を付け替える必要も出てくる。その判断の最終的なトップが総理であり、それを最も近いところで支えるのが官房長官です。
私にとって一番の危機は、2011年の3月15日でした。東電の清水正孝社長(当時)が「残っている職員をイチエフから撤退させたい」と言ってきたが、それをされてしまうと、福島第一原発の6基が全くの手つかずになり、放射能がどんどん漏れてしまうことになる。「ここはとにかく命をかけてでもやってもらいたい」。私は東電の社長だけではなく、多くの職員がいる前でそう言いました。