「税金暮らし」と心ない陰口 蓮池薫さん、帰国8年の苦悩

 北朝鮮の金正日総書記の「後継者」に三男の金正恩(ジョンウン)氏が固まった、とのニュースが世界を駆けめぐったが、それで拉致問題解決が進展するような気配はない。10月15日は、拉致被害者5人が8年前に電撃帰国した日だ。蓮池、地村両夫妻や曽我ひとみさんたちは、この日をどんな気持ちで迎えるのか。

 蓮池薫さん(53)と妻の祐木子さん(54)は、帰国当初は新潟県柏崎市役所に臨時職員として勤務した。
 薫さんは04年末に韓国の出版物の翻訳業に転身。これまで20冊以上の本を手がけてきた。
 また、自著『半島へ、ふたたび』で昨年、新潮ドキュメント賞を受賞した。
 一見、順風満帆のようだが、兄の透さん(55)は、
 「韓国本など大して売れないし、収入はギリギリ生活できる程度でしょう」
 と苦笑する。
 にもかかわらず、薫さんは今年4月、月30万円の政府の支援金を辞退することを決めた。その裏には深刻な悩みがあった、と透さんは振り返る。
 「給付金に対して薫は、ずっと負い目がありました」

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