菅政権なら、岸田政権なら、石破政権ならこんな日本になる。どれもいいなと思えれば、そこから居酒屋で政治談議も深まる。日本の未来を考える。だがそれを示してくれないから、苦労人だから菅さん? 石破さんは酒の席でつまらないからダメ? みたいな漠然とした話になってしまう。政治家が語るべき言葉を持たず、理念を示せないのは絶望的だ。会見での3人の言葉は、ときめきがほぼゼロだった。眠かった。失言がないようにきれい事を言っているだけ。まったく心に刺さらなかった。歴代最長政権が終わった後の、初の自民党総裁選。間違いなく歴史的瞬間だ。これを目の前で見ても感動しないなんて、こんなことあるんだ。お笑い芸人の先輩の単独ライブを見た時に思う「やっぱり生のお笑いって違う。最高に面白い! 映像で見るのとは違う!」そういう感動が皆無だ。国民の皆さんにこの映像を通して自分の思いを伝えるんだ、みたいな熱気がほとんど感じ取られなかった。
●若者を感じない現場
71歳菅さんvs63歳岸田さんvs63歳石破さん。みんな高齢だ。若手の自民党議員が「党員投票をやりましょう」と署名提出するも党は受け入れなかった。若者の意見が受け入れられない会社は滅びる。若手が打席に立てず、引き際の悪い、おじいちゃんたちが列をなしている。時代遅れのこんな会社、私なら行きたくない。若い子たちの政治離れがすすむ訳だ。
私の意見に対しては、世代間格差をあおり、女性を特別視しすぎていると言われるかもしれない。でも、あおらないといけないほど、若者や女性が生きにくい社会になっていることに目を向けなければならない。お年寄りでも、若者に目を向けている人はたくさんいる。しかし、3人の候補からは教育や女性に関する話題はほとんど出なかった。だから、私は声を上げて、それを書いていく。先進国でここまで教育費が少なく、男女格差が開いている国はどこにもないのだから。私たちが変えていかなくてはいけない。
◎たかまつなな 1993年、横浜市生まれ。慶應義塾大学大学院政策メディア研究科、東京大学大学院情報学環教育部修了。時事YouTuber、お笑いジャーナリストとして、現場に取材に行き、社会問題を発信している。18歳選挙導入を機に「株式会社 笑下村塾」を設立し、政治を面白く伝えるため、全国の学校へ出張授業「笑える!政治教育ショー」を届ける。著書に『政治の絵本』(弘文堂)がある。また、「朝まで生テレビ」や「NHKスペシャル」などにも出演し、若者へ政治意識の喚起を促している。