香取:僕が演じる舎人は、かなりクセの強い男なんですけど、三谷さんからは、最初に「5歳児を香取慎吾が演じたらどうなるか、イメージして組み立ててほしい」と言われました。実際に三谷さんは、舎人のキャラクターを考える際に、自分のお子さんをすごく意識されたみたいです。今回、配信されるのは全部で8話ですが、三谷さんとは「シーズン2、シーズン3とずっと続けられるキャラにしたいよね」って話していました。
「やったことないよな」
舎人のキャラクターを作り上げるうえでは、香取からも積極的に意見を出した。
香取:例えば髪形にしても、大人なんだけど子どもでもあるような、かわいげのある雰囲気を出したくて、結果的にああいうおかっぱ頭になりました。服も、最初はただの黄色いつなぎだったんですけど、右のポケットだけヒョウ柄にしたら面白いんじゃないかとか、話し合いながら組み立てていきましたね。しぐさについても、今まで演じたキャラとかぶらないように、「これはやったことないよな」と自分の中で一通りリサーチして。それで、舎人は隙あらば前歯を出すキャラにしました(笑)。
舎人を囲む共演者の個性も豊かだ。舎人の母親役の夏木マリを始め、西田敏行、大竹しのぶ、八嶋智人、松岡茉優など、ベテランから若手まで多彩な俳優陣がゲスト出演する。海外にまでファンがいる演歌歌手・レッツ大納言役として稲垣吾郎が登場するのも、本作の見どころの一つだ。
香取:吾郎ちゃんとは長い付き合いになるけれど、間近で見て、「へえ、こうやって演技するんだな」といろいろな発見がありましたね。吾郎ちゃんは僕よりも舞台経験が多いから、もっと綿密に役を作ってくるイメージがあったんです。僕には信じられないくらい、いっつも稽古をしているので。でも、今回は時間をかけて役作りする余裕もなかったんじゃないかな。
ちなみに稲垣自身は、「(シットコムのような)独特なスタイルのドラマは初めてだったので、想像がつかなかったんですけど、転校生みたいで、舞台とも違いますしドラマの撮影とも違いますし、何とも言えない不思議な感触だった」と、コメントを寄せている。
稲垣が言うように、ドラマのように綿密に組み立てられた筋書きがある一方で、演者の発言や動作は舞台のような“ライブ感”があるのも、シットコムの面白さの一つだ。昨年末から行われた撮影では、一般客をスタジオに招き入れ、1話につき2回ずつ客前で本番を撮った。(ライター・澤田憲)
※AERA 2020年9月21日号より抜粋