一方、100メートルほど東側に都営地下鉄大江戸線の豊島園駅があるものの、同線は隣の練馬駅で西武池袋線と接続していることなどから、乗り換え利用はごく限られているのが実態だ。
「としまえん」の閉園によって、両駅ともに行楽拠点としての役割は失われてしまった感があるが、関連施設の温泉入浴施設「豊島園 庭の湯」は営業中だ。ボディーマッサージやアクアストレッチング、歩行浴などが楽しめる「バーデプール」や死海の塩を用いた「死海プール」(2010年7月に「ホットタブ」改装)、信楽焼の壺を用いた「露天信楽焼風呂」などのユニークな設備がそろうのが特徴。また、「としまえん」跡地は東京都が公園として整備するほか、米国の「ワーナー・ブラザース」によるテーマパークワーナー・ブラザース・スタジオツアー東京・メイキング・オブ ハリーポッター」を建設する計画(2023年開園予定)が伝えられている。
■遊園地なきいま、豊島園駅の駅名は今後どうなるの? 改称されていない類似例も
そんな状況にある豊島園駅をめぐる話題のひとつに、今後の駅名がある。いうまでもなく、駅名に用いられていた「としまえん」──漢字とひらがなという違いはあるが──が閉園したからだ。
この点についての西武鉄道からの公式のアナウンスはなく、変更の可能性についても推測の域を出ていない。ただ、豊島園駅と似たケースを経ている駅は各地にあり、その後の駅名についても扱いが分かれている。そのいくつかをみてみよう。
JR外房線の行川アイランド駅は、フラミンゴショーなどで知られていた「行川アイランド」の最寄り駅として1970(昭和45)年に開業(当時は臨時駅)。駅周辺にはこれといった集落もなく、それを反映するように外房線電化(72年7月)以前は急行のみが停車するという変則的な扱いであった。しかし、同施設が2001(平成13)年に閉園、その後の駅名変更はないままとなっている。なお、施設跡地には高齢者定住施設が計画されていたが、その後にリゾートホテルに計画が変更され、2024年度の完成が予定されている。