2020年8月31日、東京都心エリアの大型遊園地として親しまれてきた「としまえん」が90余年の歴史を閉じた。その玄関として遊園地来訪者で賑わい、そのパートナーを失った西武鉄道の豊島園とはどんな駅なのか。また、同様にテーマパークなどの玄関駅だった過去を持つ駅についても探ってみた。
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■一歩先を走っていた都心の遊園地「としまえん」
2020年8月末をもって閉園を迎えた「としまえん」。その報を知って、かつて続々とお披露目された斬新なアトラクションや大型プールなどを連想した人は多いのではないだろうか。個人的には、海賊船と商船をモデルにした「フライングパイレーツ」で地上45メートルの空中航海が印象に残っているし(ちょっとした恐怖だった)、真っ暗なトンネルを走るローラーコースター「サイクロン」も新鮮な感じがしたのを覚えている。残念ながら同園のプールで遊んだ経験はないが、世界初の流れるプールや人工波のプール、ウォータースライダー「ハイドロポリス」などをメディアを通して見て「面白そうだな」と思っていたものだ。
そうしたニュータイプのアトラクションと並び、世界最古のメリーゴーラウンド「カルーセルエルドラド」は「としまえん」のランドマークだった。1907年にドイツで製作され、ニューヨークの遊園地を経て1971年に「としまえん」に上陸。2010(平成22)年には日本機械学会の「機械遺産」に認定されている。ファンも多く、閉園後の保存話も伝わってくる。
■行楽施設の玄関として開業した駅と路線
そんな「としまえん」の最寄り駅だったのが、西武鉄道豊島線の豊島園駅である。豊島線は西武池袋線の練馬駅と豊島園駅とを結ぶわずか1.0キロメートルの行き止まり線だが、「としまえん」への行楽客だけでなく、日常の通勤・生活路線としての利用者も多い。豊島園駅から先に線路はなく、幅の広い1面2線ホームの先は駅舎で行き止まりとなっている。なお、駅の開業は1927(昭和2)年10月。その前年9月に「としまえん」の前身である「練馬城址 豊島園」が開園している。