今年は追い上げるチームは苦しい状況になる。なぜなら、目先の1勝のために救援投手を酷使するからだ。上位にいるチームは、どう疲労を残さずに勝負どころに備えるかを考えることができる。そういった意味で、巨人は絶対的に優位である。
ただ、パ・リーグは違う。ソフトバンク、ロッテ、楽天が競っている。しかも、ロッテや楽天は投手の球数を投げさせることができる。つまり、チーム戦術として、相手投手を疲弊させることができる。その意味は例年のシーズンとは重みが違う。勝てなくても、相手にダメージを与える。勝負どころでどれだけフレッシュな投手を作れるか。それで勝負が決まるような気がする。
リーグ2連覇中の西武は高橋光成が8日のオリックス戦で八回までノーヒットの快投をみせた。私も初めて見たくらい、完璧だった。ただ、これをシーズン最後まで続けてほしい。西武が上がるためには必要なことだ。
東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝
※週刊朝日 2020年9月25日号