坂東眞理子さん (撮影/写真部・加藤夏子)
坂東眞理子さん (撮影/写真部・加藤夏子)
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「老活」──。「ろうかつ」ではなく「おいかつ」と読む。ベストセラー『女性の品格』の著者・坂東眞理子さんがそんな言葉を編み出した。「60代を過ぎたら人生は下り坂、と思っている人たちに活を入れ、もっと元気を出してもらいたい」という思いで書かれた。だから“おーい、活!(おーいかつ)”というわけだ。

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「老活」とは何か。

 簡単に言えば「60歳で悠々自適」は早すぎる、「終活」なんて考えずに、まだまだ働き盛りでいろんなことができるはずということだ。何しろ、日本人の平均寿命は男性81歳、女性87歳。60歳の人の平均余命は男性23.97年、女性は29.17年だ。60歳からの人生を余生と考えるにはあまりに長すぎると坂東さんは言う。

 最近刊『老活のすすめ』は、この人生の後半期のステージをもっと有意義に過ごそうという提案の書なのだ。

「74歳になりましたが、自分のことを老人だとは思っていません(笑)。今思えば、50代なんてまだまだ若く、いろいろなことができる年齢だったということです」

 坂東さん自らの経験に根差した考えだ。

「昔なら57歳以降の公務員は、きっと余生のようなイメージでしょう。でも昭和女子大から声がかかり、57歳から第二の人生をスタートさせました。学生たちを育てる仕事は意味深い仕事だと思って頑張ることができて、幸せだと思っています」

 坂東さんは人生のステージを四つの段階に分けて考えるインドの思想が気に入っている。

 人生を「学生(がくしょう)期」(30歳前後まで)、「家住(かじゅう)期」(60歳前後まで)、「林住(りんじゅう)期」(80歳前後まで)、「遊行(ゆぎょう)期」(80歳以降)に分けるのだ。

「今までの日本では、バリバリ働く家住期が終わると、一足飛びに遊行期に移行して旅行をしたり趣味を楽しんだりしたいと考える人が大半でした。でも高齢化社会となった今は、林住期をいかに過ごすかが自分の人生にとっても社会にとっても重要になってきていると思うのです」

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