
人生の終わりにどんな本を読むか――。2年前に「住所不定、無職」で作家デビューする前、さまざまな仕事を転々とした赤松利市さんは、「最後の読書」に『仕事本』を選ぶという。
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Withコロナと東京都知事が発言した。コロナと共存する新たな生活様式を考えようという提案だ。海外の研究者は科学的な根拠を以って、現在の状況が10年、20年と続いても不思議ではないと悲観的な観測さえ述べている。
私は今年の2月で64歳になった。おそらくこのままコロナと共存する人生が残されているのだと諦観している。コロナによる重症化で最期を迎えたくはないと願うのだが、それも詮無いことだろう。いずれは感染するだろうし、既に感染しているのかも知れない。
そんな私が末期の読書として選ぶとすれば、左右社刊の『仕事本』だ。440ページを超える分厚い本で、これを病床にあって読むのは大変だと思えるかもしれないが、読破するつもりはさらさらない。その必要もない。何故ならこの本はひとりの著者によって記されたものではなく、77人の著者によって記された日記だからだ。