「令和おじさん」や「パンケーキ好き」の演出にメディアも乗せられた今回の総裁選。菅氏の実像は、国民の目に映るものとは違うようだ。現役の総務官僚も次のように話す。
「間違いなく剛腕で、一緒に仕事をした人からは『大変な人』という声が聞こえてきます」
慶応義塾大学の曽根泰教名誉教授(政治学)は、民主党政権以前から官僚が所属する省庁のためではなく、国全体のために働けるような人事制度の改革が必要だと訴えていた。
「その意味で内閣人事局には効果がありましたが、欠けていた視点もありました。誰が官僚を評価するのかということです」
結果的にこの間、菅氏の人事への影響力が増大した。文部科学省のある元幹部も「何度も人事案をひっくり返された。どこの省庁も同じです」と証言する。
菅氏がなぜこの国のトップに上り詰めたのか。曽根名誉教授はこう説明する。
「菅さんという政治家は、人事を中心に、あらゆる情報を集約するのにとてもたけた人です。元々あったものではなく、菅さん本人がこのシステムを作り上げたのだと思います」(編集部・小田健司)
※AERA 2020年9月28日号