「アベノミクスの反省点は」との質問に、答えたのは成果のみ。「基地問題で向き合った沖縄への態度には(地方)分権に対する情熱がどこまであったのか」との質問に対しても、辺野古新基地に一切言及しなかった。
「菅さんは答えたくないことに対してはノーアンサー。説明をしようという姿勢すら見られない。『ご飯論法』とも違います」(上西さん)
「朝ごはんを食べましたか?」という質問に、「(パンは食べたけど)ご飯は食べていない」と意図的に論点をずらしてごまかす安倍政権の答弁の特徴を、「ご飯論法」として発信した一人が上西さんだ。
「ご飯論法は一見誠実に答えているようで、実は相手をだましながら都合の悪いことには言及しない巧妙さが味噌。でも菅さんの場合、『ああまた、望月がぁ』みたいな不快感が顔に出るし、実際ちらっと事務方に目をやって、『簡潔にお願いしまーす』とか言わせて質問を妨害させる。露骨ですよね」
■質問遮断し共感求める
「菅流」の答弁を上西さんは、「門前払い答弁」と指摘する。
「ばしっとドアを閉じてしまう感じ。そうやって相手の質問をシャットアウトしながら、こんなに頑張っているんだという自分の思いは一生懸命話し、共感してもらおうとする」
そうした菅氏の会見対応を、内閣をガードする危機管理の面から「鉄壁」と評する声もあったが、上西さんはそれに違和感を示す。
「頼もしいという意味で、私たち有権者が『鉄壁』と言うのはおかしいと思います。政治の説明責任を果たす最高責任者となる菅さんがこういう姿勢を続けるのであれば深刻です」
菅政権では国民と双方向のコミュニケーションが成立しないのか。
「問題意識を持つ人たちがいても、その意見が世論に広がらない限りは、自分を支持してくれる人たちさえ押さえていれば政権は揺るがない、という安倍政権下の『開き直りのおごり』が継続されるのを懸念しています」(上西さん)
(編集部・渡辺豪)
※AERA 2020年9月28日号