記者会見で記者を指名する菅義偉氏(C)朝日新聞社
記者会見で記者を指名する菅義偉氏(C)朝日新聞社
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「令和おじさん」や「パンケーキ好き」の演出もあり6割を超える高い支持率でスタートした菅内閣。しかし菅氏の実像は、国民の目に映るものとは違うようだ。菅氏の答弁スタイルに懸念の声を上げる人たちがいる。AERA 2020年9月28日号の記事を紹介する。

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「あなたに答える必要はありません」

 2019年2月26日の会見で菅義偉官房長官(当時)はこう言い放った。

 相手は東京新聞の望月衣塑子記者。望月さんが「会見は政府のためでも、メディアのためでもなく、国民の知る権利に応えるためにあるものだと思いますが、この会見を一体何のための場だと思っているのか」と質問したことへの回答だ。

 望月さんはこう振り返る。

「菅さんの回答は記者を馬鹿にしたものだし、私のように政府を追及して質問を重ねる記者はこういう仕打ちに遭うんだということを示す、見せしめのような意図も感じました」

 望月さんが最も印象に残っているのは18年12月26日の会見とその後の顛末だという。

 辺野古の埋め立て工事に投入される土砂に関する望月さんの質問に、菅氏が「答えた」のは以下の3フレーズだった。

「法令に基づきしっかり行っております」「そんなことはありません」「いま答えた通りです」

■弱みを見せたら終わり

 2日後、思わぬ方向に事態が進む。首相官邸の報道室長が、官邸を取材する記者が所属する「内閣記者会」宛てに望月さんの質問を「事実誤認がある」などと問題視し、「問題意識の共有」を求める文書を示したのだ。

「私を会見場から排除したいという菅さんの強権ぶりが、ものすごく反映されていたと思います」(望月さん)

 望月さんに限らず、政権にとって都合の悪い質問は取り合おうとしない菅氏。その理由について望月さんはこう指摘する。

「弱みを見せたら終わりだという考えが、菅さんの中には相当強くあると感じています。モリカケや桜を見る会の疑惑も『問題はない』と言い続けるしかない。責任を認めてしまった瞬間、弱みに付け込まれるという警戒心が強いからあんな答弁になるのでは」

 一方、法政大学の上西充子教授は菅氏の情報発信の特徴をこう指摘する。

「言いたいことは言う、それでいて相手の指摘は受け止めない」

 9月2日の出馬表明の会見でもその片鱗は見えたという。

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