伊藤さんが手がけるマッチングサービスでも、感染者の急増時、「夜のデートは躊躇するから昼、空いているお店にしてほしい」という女性に対し男性が「もう予約しているのに」と不満を漏らし、デートを取りやめる例などがあった。
「コロナがなければ普通に会って、付き合い始めていたかもしれない。でも、そういう二人はいずれ破局します。深い関係になる前に価値観の違いに気づけたと言えます」(伊藤さん)
■出会いはオンラインへ
コロナ禍で、「出会い」も変わりつつある。以前から出会いは恋愛をめぐる大きな課題だった。リクルートブライダル総研の「恋愛・結婚調査2019」では、恋人がいない理由として53.4%の人が「出会いがない」ことを挙げているが、その傾向はより顕著になった。取材でも、嘆く声が多く聞かれた。
「授業はオンラインでサークルも休み。異性と知り合って仲良くなる場がない」(21歳・大学生男性)
「出かける場所、会う人をだいぶ制限している。もともと仲がいい人としか会わないから、新たな出会いが生まれない」(28歳・会社員女性)
そんななか、出会いの場として改めて注目されるのがマッチングアプリなどのオンラインサービスだ。前出の「恋愛婚活ラボ」がアプリ利用者に対して行った調査では、緊急事態宣言解除後の出会いの手段として男性の58%、女性の62%が「オンラインツール“のみ”を使う」と回答した。伊藤さんは言う。
「これまではアプリを利用している人も趣味の集まりや友人の紹介、合コンなどリアルの場とオンラインを併用して出会いを探していた。それが、オンライン重視になっています」
マッチングアプリはプロフィルや顔写真を見て、OKと思える相手と効率よく会えることが特徴だ。
■利用者層にも変化が現れた。
「アプリには、恋人は求めていないけれど異性とお酒を飲んで、あわよくばその先もというカジュアルな出会いを求める層が一定数いました。しかし、緊急事態宣言中はその層がアプリを離れ、真剣に恋人を探したい人が増えた印象です」(伊藤さん)