落語家・春風亭一之輔氏が週刊朝日で連載中のコラム「ああ、それ私よく知ってます。」。今週のお題は「松田聖子」。
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夏も過ぎだいぶ涼しくなってきましたが、まだまだ我が家は『あつもり(あつまれ どうぶつの森)』ブーム。ただ我が家族には令和にして「ゲームは一日30分のルール」があるので、なかなか動物たちが集まらない。ガブリエル、チューこ、カモミ、トムソン……まだまだコマ不足だ。一生懸命に魚釣りをしていると担当編集のK氏からのメールが入った。
「1980年のデビューで、今年40周年です。次のお題は『松田聖子』でお願いします。ちなみに一之輔さんは『聖子派』と『明菜派』どちらですか?」。いや、どちらでもねーです。老けてみられるけど1978年生まれだもんで。私の担当ならプロフィール知ってるはずなんだけどね。そんなことよりこちとら『あつもり』なんですよ! ……でもお仕事のほうが大切。
聖子ちゃんの思い出、何かないかなぁ……と考えてみた。歌番組は物心ついた頃から姉ちゃんたちと観ていた。記者会見!! 小さい時(6歳)に見たお馴染みの「生まれ変わったら一緒になろうね……」というあれ。スターがフラッシュの前で思い切り泣いていた。子供ながらに「公衆の面前でこんな赤裸々なことを言っちゃうのか!?」と驚いた。完全に金のとれる『ステージ』じゃないですか。それをタダの地上波でやってるのだ。今なら絶対に有料配信すべきです。やっぱり聖子ちゃんはすごい。しかも郷さんは「生まれ変わったら……」なんてホントは言ってなかったらしい。やっぱりすごい。
赤裸々と言えば、「アイ・ワズ・ゲイ」と沈痛な面持ちで告白する白人青年の記者会見も「金がとれる」ヤツだった。「アイ・シャル・リターン」「アイル・ビー・バック」に続く「アイ」から始まる名台詞。あの人は聖子ちゃんの暴露本書いた人……違うな。それはジェフ・ニコルスだ。「アイ・ワズ・ゲイ」はマラソンの人の元旦那さんじゃないか。ジェフは『真実の愛』だ。『ダディ』は郷ひろみか。もうごちゃごちゃ。