TOKYO FMのラジオマン・延江浩さんが音楽とともに社会を語る、本誌連載「RADIO PA PA」。今回は、山下達郎さんととしまえんについて。
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先日、この欄で東京・練馬のとしまえんのことを書いた。今年の夏、94年の歴史にいよいよ幕を閉じてしまったという話。
僕の勤めているFM局で番組を持っている山下達郎さんもこの遊園地に触れていた。
「僕は城北、池袋生まれですから、としまえんと後楽園は二大遊園地でした」(『山下達郎のサンデー・ソングブック』8月30日放送)
達郎さんの名曲『さよなら夏の日』は、としまえんでの思い出を歌ったもの。夏の終わりに遊びに行ったら夕立に遭い、雨上がりの虹を眺めたエピソードはファンの間で有名だ。
「高校時代にですね、ガールフレンドとデートしたときに、流れるプールに行ったんです。それで、雨が降ってきたんですよ。あそこのプールは地下水使っているから冷たいんだ(笑)」(同前)
そういう達郎さんは東京生まれの東京育ち。
「としまえんというのは、そういう中学生、高校生、小学生の記憶とともにある」(同前)
山下達郎さんのトークはどこまでもラジオライクだ。
「アン・ルイスも(としまえんで)ライブをやっていてね。観に行ったら(ステージに)呼ばれて『BOMBER』を歌った。その日は一日、一緒に遊んだり」(同前)
大学時代から僕は『BOMBER』が大好きで、この曲が収録されているアルバム『GO AHEAD!』を擦り切れるほど聴き、長野・蓼科での夏合宿の打ち上げでは大音量で夜空に放ち、みんなで踊りまくった。
山下達郎というアーティストの存在は、東京の音楽少年にとって特別である。
洒脱と洗練、少年性と、どこまでもナイーブな憂鬱、そして鮮やかに切り取られた都市の風景。そのセンスと音楽的素養に憧れて、彼の背中を追うように誰もがコピーに励んだ。達郎サウンドはカッコいい。これだけは誰にも譲れない。そんな具合に達郎サウンドを愛している。