と政権批判を口にする。
9月19日、東京でも軍事政権に反対する集会が開かれた。バンコクで開かれる大規模な集会に全世界にいるタイ人が呼応する形で開かれた。
今回の政府に反対する集会やデモは、大学生を中心にはじまった。その主張のなかには王室批判もでてきた。
ところが渋谷で開かれた集会の中心メンバーは、かつて赤シャツ派といわれたタクシン元首相を支持するグループだった。2009年、バンコク中心部を占拠した争乱の再来を思わせた。この混乱が現在の軍事政権誕生の要因だった。
バンコクも似た傾向があるようで、「またあの時代……」と敬遠する市民も多いという。
コロナ禍は時計の針を逆にまわしつつある。そこで顔をのぞかせるかつての病巣。渋谷で開かれた集会を前に戸惑っていた。
■下川裕治(しもかわ・ゆうじ)/1954年生まれ。アジアや沖縄を中心に著書多数。ネット配信の連載は「クリックディープ旅」(毎週)、「たそがれ色のオデッセイ」(週)、「沖縄の離島旅」(毎月)、「タビノート」(毎月)