福田総理の後を継いだ麻生太郎総理は究極の反改革派だったが、選挙前で改革に進まざるを得ない当時の甘利明公務員制度改革担当相の下で、改革派スタッフがフル回転して作った野心的な国家公務員法改正案には、幹部職員の公募ポスト数の目標の設定義務や出来の悪い幹部官僚を降格させる(今はできない)などの画期的条文が含まれたが、民主党の反対で廃案となった。もし、これが実現していれば、日本の政府が一気に先進的な「賢い政府」になるきっかけとなっていたはずだ。

 一方、第2次安倍内閣では改革の動きが止まった。行革も規制改革も公務員改革も雑用扱いとなり、官邸では今井尚哉総理秘書官が反改革の砦となった。担当大臣も一時期の河野太郎氏を除き小物ばかり。事務局も各省出向者任せだった。改革が進むわけがない。

 菅内閣はどうか。急進改革派の河野太郎氏を担当相にしたので期待できるが、事務局は各省寄り合い所帯で秘書官も改革派には見えない。和泉洋人「不倫」補佐官はじめ居残り官邸官僚は引き続き改革の障害でしかない。

 結局、小さな改革を忖度マスコミの協力を得て大きく見せるという程度に終わるのでは? そんな懸念が渦巻いてくる。

週刊朝日  2020年10月16日号

古賀茂明(こが・しげあき)/古賀茂明政策ラボ代表、「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。1955年、長崎県生まれ。東大法学部卒。元経済産業省の改革派官僚。産業再生機構執行役員、内閣審議官などを経て2011年退官。主著『日本中枢の崩壊』(講談社文庫)など

暮らしとモノ班 for promotion
【Amazonブラックフライデー2024】セール開催中(12月8日(金)23:59まで)。目玉商品50選、ポイントアップやお得な買い方もご紹介!