中山哲成さん。写真で手にしているのは、全国32人目となる
中山哲成さん。写真で手にしているのは、全国32人目となる"英語で接客ができるドライバー"の認定証(撮影/掛祥葉子・写真部)
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 英語力「ほぼゼロ」だった30歳から英語を学び、数年で「ペラペラ」になったタクシー運転手がいる。現在発売中の『AERA English 2020 Autumn&Winter』では、そんな「逸材」の中山哲成さんを取材。英エコノミスト誌にも取材された彼の「人生を変えた学習法」を紹介する。

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 タクシー運転手の「英語おもてなしコンテスト」で2018年に最優秀賞を受賞した中山哲成さん。さらに同年、同時通訳者や長期留学経験者も参加するスピーキングコンテスト「ICEE2018」でも、決勝進出を果たした。

 だがそのわずか4年前、中山さんの英語力は「ほぼゼロ」だった。

「タクシー会社に就職する半年前、東京がオリンピック開催地に選ばれて。外国人観光客も来るし、『6年あればなんとかなるかな』という軽い気持ちで、英語の勉強を始めました」

 もともと好きなことにはとことんハマる性分。最初にのめり込んだのは、書店ですすめられた教材『英語耳』を使った発音練習だった。毎日発音を録音して聞き直すと「日に日にネイティブっぽくなっていくことが嬉しかった」と中山さん。文法学習も同時に進め、知識は順調に増えていったが、しばらくすると「文法の間違いが気になり、言葉が出てこない」状態に。完全にやる気を失ったある日、報道番組のキャスターが言った「Let me introduce myself.」(自己紹介させてください)という一言を聞き、再びスイッチが入った。

「外国人のお客様への自己紹介は、My name is……以外に言い方はないものか、前々から悩んでいました。だからこの言葉を聞いた瞬間、これだ!と直感したんです」

■定型文を確実に暗記 会話が“引き締まる”

 早速このフレーズに名前と勤務先名を加えた自己紹介文を作り、繰り返し練習。すると2週間後、実際の接客でスムーズに言えたことで、自信がついた。

「会話集を丸暗記しても時間がたてば忘れるし、実際に使わないフレーズも多い。だったら、確実に使うフレーズを一つだけ選んで、完全に自分のものになってから次へ進むほうが、初心者は上達が早いと思います」

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