冒頭の『サーフ・スプラッシュ』の解説文では、家庭への複雑な思いを次のように綴っている。

<帰る家は暖かい家庭そのものに見えたが、カギのかかった空間がいくつもあるような場所だった。足早に台所を通り過ぎる時、一人の人間として父が必要とした女の人が、彼女の子供たちのために食事の支度をしている。晩の食卓の賑やかな景色が、私にはガラス越しのものに見えた>

<私は父に人生を好きに生きてくれたらいいと思っていた。連れ子という荷物がいることを面倒に感じられたくなかった>

 こうした生い立ちが自殺に影響したとの報道も少なくないが、竹内さんの親族の一人は本誌の取材にこう語った。

「複雑な家庭環境といってもそんなに大げさなものではないし、全然苦しんでなんかいない。本当の原因なんて、誰にもわかるわけがありません」

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(本誌・上田耕司、岩下明日香/今西憲之)

週刊朝日  2020年10月16日号より抜粋

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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