男子生徒の自殺後、生徒が通っていた大阪市立桜宮高校では保護者会が開かれた (c)朝日新聞社 @@写禁
男子生徒の自殺後、生徒が通っていた大阪市立桜宮高校では保護者会が開かれた (c)朝日新聞社 @@写禁
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 大阪市立桜宮高校の2年生で、バスケットボール部の主将だった男子生徒Aくん(17)が昨年末に自殺した問題。その背景に「体罰」と言う名の暴行、そして学校と教育委員会の怠慢があったことがわかってきている。

 大阪市教委が記者会見で、Aくんが昨年12月23日に自宅で首をつって自殺していたと発表したのは、年が明けた1月8日だった。市教委は、自殺の前日などに教諭がAくんにビンタなどの体罰を加えていたことや、Aくんが書いた教諭への「手紙」が自宅に残されていたことも公表。教諭は現在、謹慎中の身だ。いったいどんな人物なのか。桜宮高校の1年生はこう証言する。

「生徒思いのいい先生です。あかんことはあかん、いいことはいいとハッキリ言うタイプ。授業も楽しかったし、周りからも厳しくて良い先生と思われていた」

 意外なことに、近所の評判も悪くない。以前、近くに住んでいた70代の女性はこう話す。

「最初見たときは体が大きくて、機動隊員か何かをしているのかと思いました。奥さんと小学生か中学生くらいの息子さん2人との4人暮らしで、お子さんは今時珍しいくらいしつけが行き届いています。道路で人とすれ違うときはサッと道を譲ってくれて、近所の人には深く腰を曲げてあいさつしていましたね」

 教諭は身長170センチほど。ガッシリした体格で、学生時代は大学屈指の強豪、日体大バスケットボール部に所属していた。同窓生によれば、ベンチ入りこそできなかったものの、部活動には熱心に取り組んでいた。

 1994年4月に保健体育科教諭として桜宮高校に採用され、バスケ部の顧問になった。“熱血指導”ぶりは周囲では有名だった。大阪市内のバスケットボールショップの店員が言う。

「怖い監督という評判で、桜宮高に進学するという中学生には『桜宮行くの?怖いぞ~』なんてからかったりしてました。でも、うれしいときは選手と一緒に泣くという一面も聞いたことがあります」

週刊朝日 2013年1月25日号