地獄のオルフェウス


 テネシー・ウィリアムズの戯曲を、大竹しのぶさんらと共演した。三浦さんが演じるのは、愛のない生活を送る女の前に現れたひとりの青年で、自由を象徴する役柄。舞台は2015年5月に東京で、6月に大阪で上演された。

「理想を持っているヴァル(三浦さん演じる青年)の生き方はすごく魅力的だけれど、一歩ひいてみるととても寂しいなと思ったりもして……。彼の語ることが今はすごくよくわかる気がするんです。ただ自由に生きたかっただけなのに、彼の意志に反して、やはりどこに行っても自由はなくて、その理想さえもむしられていく。本当の自由って何だろう。観ていただいた方に一瞬でもそんなことを感じていただけたら嬉しいです」(ダ・ヴィンチ 2015年5月号/25歳)

 後に三浦さんは、役者人生の転機となった作品のひとつだと明かしている。この舞台を通して、役者人生の可能性を自分自身で信じることができるようになったという。

キンキーブーツ
 23歳でブロードウェイの公演を観たときから「やりたい」と思い続けていたミュージカル作品。念願かなって、2016年7月に日本人キャスト版で主人公のドラァグクイーン・ローラを演じた。読売演劇大賞の杉村春子賞を受賞し、舞台人としての実力が認められた作品だ。2019年4月に再演もしている。

 歌とダンスのすばらしさに目を奪われるが、それだけはない。とことん考え抜いて、キャラクターづくりをしていたそうだ。

「きれいでファニーで強いローラにしたいし、お客さまの脳裏に、三浦春馬ではなくローラとしての印象が自然に残るようにしたい。そのために、彼のバッグボーンや内面に抱えたものを大切に役作りをしてきたいです」(PHPスペシャル 2016年8月号/26歳)

 努力の先につかんだ手応えと舞台に立つ醍醐味も味わった。

「いざ幕が開いて、“生”ならではの取り返しのつかない緊張感の中で何日も公演を続けていると、ある時突然それまでまったく見えなかったものに気づけたりする。たとえば、それは極限まで集中している相手からのパッションを受け取ったことで溢れ出る感情だったり……。そんな感覚が味わる舞台は、僕にとって、これからも1年に1回は立ち続けたいと思える場所です」(MORE 2016年8月号/26歳)

こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話
 24時間体制の介助が必要な筋ジストロフィーの男性と周囲のボランディアの生活を描いたノンフィフィクションが原作の映画。大泉洋さんが主人公をコミカルに演じ、振り回される要領の悪いボランティアの医学生を三浦さんが演じている。2018年12月公開。障がいと介助という難しくとらえがちな題材だが、三浦さんの演技が見る者をひきつけている。

「理想の自分と現実の自分との間にある混沌としたものをどう表現したらいいのか。そう考えた時、かつての自分のこと、あの頃の感情とか状況とかを思い返して、引っ張り上げるという作業をすごく丁寧にしたと思います。自分はなんて駄目なんだろうって悔しい思いをした経験はきっと皆さんにもありますよね。だから今回の役柄に共感してくれる人はとても多いと思うんです」(週刊文春 2018年12月13日号/28歳)

 三浦さんは、この作品に携わったことで得られたことがあるという。

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ドラマでも映画でも舞台でもない。もう一つの三浦さんの作品