「劣モジュラ関数と社会課題」についてプレゼンする高校2年の部員(筆者撮影)
「劣モジュラ関数と社会課題」についてプレゼンする高校2年の部員(筆者撮影)
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2017~19年度の本郷社会部の主な活動実績(20年度はコロナ禍による影響でZoomによる活動が中心のため省略)
2017~19年度の本郷社会部の主な活動実績(20年度はコロナ禍による影響でZoomによる活動が中心のため省略)

■本郷「社会部」の圧倒的な活動実績

【図】本郷社会部の主な活動実績がこちら

 東京都豊島区駒込にある中高一貫の男子校「本郷」。近年は進学校としての実力だけでなく、ラグビー部が2年連続で花園(全国高等学校ラグビーフットボール大会)への切符を獲得するなど「文武両道」を実現していることでも知られている。

 この本郷に、すごい成果を出している部活動がある。

 その名は「社会部」。ビジネスアイデアコンテストなどに出場したり、被災地や地方自治体を訪問したり、各種講演会に参加したりするなどして、社会的な諸問題やその解決法について深く考える機会を持つ。

 この社会部の2017~19年度の活動実績に目を向けてみよう。たとえば、「SIR(Social Innovation Relay)コンテスト」国内大会優勝・世界大会進出、「キャリア甲子園(キヤノンマーケティングジャパン部門)」優勝、「AIC(Asia Innovation Challenge)」国際大会優勝、「ITC(International Trade Challenge)」シンガポール国際大会進出、「Digital Leadership DoReMi」ソウル国際大会第2位など……。多彩な分野で圧倒的な活動実績を誇っていることが分かるだろう。2020年6月にはSIRコンテストで「視覚障がい者のための地磁気を用いた駅構内の道案内アプリ」を提案し、国内大会で優勝、世界大会に進出している。

 この部活動を通じてどんな子どもたちが輩出しているのだろう。そして、この活動を牽引する顧問はどんな人物で、どのような思いで子どもたちを指導しているのだろうか。わたしはさっそく同校を訪問した。

■男子生徒による「劣モジュラ関数」のプレゼンテーション

「では、研究発表をおこないます」

 プロジェクターから映し出される画面を前に話し始めたのは、高校2年生の男の子。

 眼前の画面には「劣モジュラ関数と社会課題」と大きくタイトルが表示されていて、その下に研究目的が表示されている。「情報科学あるいは数理科学的な知見やアプローチが社会課題の解決にどのように関与することができるか検証する」とある。

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