

企業の社長は何を食べ、いくら持っているのか。アエラ増刊「AERA Money」連載、「社長のカネとメシ」の2回目はマネックスグループのトップ、松本大さんだ。
「大学を出て就職してからの33年間、ランチはほぼ自分のデスクで食べていますね」
東京・赤坂のマネックスグループ本社へ取材に訪れた7月某日、松本さんの昼食は「鳥の七味焼き弁当」550円だった。
ピリ辛の鶏肉やタルタルソース添えのフライ、卵焼き、煮物。黒ゴマと梅干しがのった白米。シンプルな昼食が松本さんのお気に入りだ。オフィスで出張販売されている弁当ショップで買う。
東京大学法学部を出て松本さんが最初に選んだ職場は、当時は世界最強の証券会社だった米ソロモン・ブラザーズ・アジア証券。その後、ゴールドマン・サックス証券に移ると史上最年少(当時)の30歳でゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任したが、ほどなく退職した。
松本さんはマネックス証券を起業し、日本に低価格のインターネット取引を根付かせた功労者の一人でもある。この間、目の回るような多忙が続いた。仕事上の会食を除けば、判で押したようにランチはずっと机の上だった。
「そばが好きなので出前を取ることもありましたが、今のオフィスは出前不可なんですよね。ランチは外部から売りに来る弁当です。時間が足りないので、散らかったデスクでお茶を飲み、弁当を食べながらノートパソコンのキーをたたいています」
激務だった外資系証券時代と同じスタイルを松本さんは今も続けている。ちなみに愛用のパソコンは「VAIO」。故障もなく、食事中にお茶をこぼすようなトラブルもない。松本さんは「私の使ってきた歴代のパソコンはそれぞれかなり酷使してきましたが、なぜか長持ちします。機械を愛しているからだと思います」と笑う。