トランプ氏は、1人1回2分と決められた討論のルールを守らず、何度もバイデン候補や司会者の言葉を遮り、喚(わめ)くのだった。
でも、こういう無法者が好きな人もいるんでしょ。そういう人にはこういうタイプの人間が、野蛮じゃなくて、強そうに見えるらしい。
強そうな人間がいくら間違ったことをしても、自分は被害者になりたくない、自分は守られたい、だから妄信的に信じるって人と、いくらなんでもって人とで分断される。トランプ氏もあの方も、「現世の毒」。
室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中
※週刊朝日 2020年10月23日号