「今、韓国を目指す若者たちは間違いなく増えています。AKB48グループを辞めて韓国に渡るアイドルもいますし、韓国でデビューする人もいます。本格的にダンスミュージックをやりたいという人がどんどん流出している状況です」

 快進撃を続けるBTS以外にも、世界的なK‐POPブームをけん引するグループは目白押しだ。今月初めにリリースされた、女性グループ「BLACKPINK」の新アルバムは米ビルボードのアルバムチャートで2位を記録。そのほか、「SuperM」や「MONSTA X」「NCT127」といったグループのアルバムが今年の米チャートをにぎわせている。このブームの一番の要因は国を挙げたエンタメ支援だ。90年代後半から文化政策とIT政策を推進し、2000年代に入ると政府の省庁に韓国コンテンツ振興院を設立。音楽などの海外展開の活性化を図っている。

「消費者の音楽へのアクセスの仕方が、この10年間で大きく変わりました。動画サイトやストリーミングサービスなど、インターネットを介したグローバルな展開が世界のスタンダードになり、スマートフォンやSNSの普及によって、ますますその流れは加速しています。韓国はこの20年、国が率先してデジタル化を進めてきて、K‐POPがうまくアジャストした。世界のトップを取れたのはマーケティングのうまさに尽きる。それが実を結んだ形です」(松谷氏)

 BTSもBLACKPINKも楽曲のデジタル配信はもちろん、ネットを活用して世界にアピールしてきた。YouTubeチャンネルの登録者は前者が約4500万人、後者は約5100万人だ。動画配信サービスを利用して生の姿も見せるなど、ファンサービスも積極的に行う。

「日本は『CDを買わせる』という古いビジネスモデルに依存してきた結果、インターネット対応が10年は遅れている。国内で満足するあまり、世界に通用するアイドルは育たず、今のままでは日本のアイドル界は衰退していく一方でしょう」(同)

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