林:「文學界」をずっと読んでいたって本当ですか。
宇垣:はい。「文藝」も読んでます。
林:私のところにも毎月送っていただいてますけど、難しくて……(笑)。若い人が本離れ小説離れしている中で、純文学を読む今の若い人って、初めて会いました。たぶん純文学雑誌は、3千部くらいの発行かもしれない。そのうち千は図書館です。芥川賞の受賞作も読む?
宇垣:読みます。エンタメ小説とかとても読みやすいものは、ジャンクフードと言ったらいけないですが、私の中では食べやすいもの。でも、純文学とか海外ミステリーの長いものとかは、食べごたえがあるものなんです。それを食べないとおなかいっぱいにならないので読みます。ほかのものに比べると時間がかかりますけど。
林:純文学の文体が好きなんでしょうね。
宇垣:そうです。きれいな文章とか、「こういう表現があるんだ」って感じるのが好きですね。
林:山田詠美さんと、あと誰が好きなんでしたっけ。
宇垣:桜庭一樹さんが好きです。
林:桜庭一樹さんはエンタメという感じがするけど。
宇垣:ライトノベルっぽい作品もありますし、直木賞をとった『私の男』とか、『赤朽葉家の伝説』もすごくおもしろかったです。
林:恩田陸さんの、あの不思議な感じとかは?
宇垣:大好き。小川洋子さんも好きです。文章が静謐っていうのかな、静かにしみてくる感じがして。
林:テレビでは自分を出せないとおっしゃったけど、これだけ読んでたら、芥川賞、直木賞のときなんかは、「これ、読んでます!」って言えたんじゃないですか?
宇垣:はい。なので、文学賞の発表時期には、肩がブンブン回ってました。「全部読んでま~す!」みたいな気持ちで(笑)。ノーベル文学賞にカズオ・イシグロさんが決まったときも、たまたま読んでいて、「読んでま~す!」と言って本のお話ができたので、ヤッター!と思ってました。
林:素晴らしいです。そんなにたくさん本を読んでくださってるなんて、ほんとうれしいですよ。秋は夜が長いし、本を読むにはいい季節ですよね。