日本銀行がついに物価目標(インフレターゲット)を導入した。達成に向けて期限を定めず金融緩和をする。白川方明(まさあき)総裁の反対表明から2カ月。政策転換を繰り返し求めてきた安倍晋三政権の「軍門」に下ったように見える。
だが、新たな政策の詳細を見る限り、日銀は、実は「死んだふり」をしていると見たほうがよさそうだ。
「無期限緩和」とは、物価上昇率2%の目標を達成するまでずっと、金融市場で国債を買うなどして世の中にお金を流し続けること。2014年以降、日銀が設立した基金で国債などを月に13兆円程度買うというのだ。1年で156兆円! 公共事業を積み増した来年度予算案でも、新たに発行する国債は42.8兆円だ。
天文学的な規模……と言いたいところだが、ここに「からくり」がある。
買い入れる国債の6分の5は、1年末満で満期を迎える短期の債券だ。買うそばから満期になっていくので、基金の残高には大きく影響しない。12年に25兆円、13年に33.9兆円程度と積み上げていくのに対して、「無期限緩和」を始める14年は10兆円程度と、増加ペースが落ちる。なんと15年以降は残高が増えない。金融緩和の「減速」と言ってもよさそうだ。
日銀関係者が高らかに言い切った。「政治に対する面従腹背ですよ。やる気ありません」。
※週刊朝日 2013年2月15日号