前出の高2生はカナダ研修がとても良かったと、興奮気味に話してくれた。
「『英語も日本語と同じ“言語”で、本当にそれを使ってコミュニケーションを図れる』という当たり前のことを実感できました。現地の高校生と交流を深めるのですが、カナダの学生だけでなく、そこには東南アジア各国や中国、韓国の人たちもいましたね。最初はどうやって接すればよいか戸惑いましたが、とにかく勇気を出して相手に話しかけることが大切だということを学べました」
さらに彼女は英語を「英語」のまま理解することができたという。
「たとえば、日本で電車に乗ったときに英語のアナウンスが流れるときってあるじゃないですか。あれに違和感を抱かなくなりましたね。すっと入ってくる感じ」
鈴木先生は頌栄女子学院の英語教育の在り方をこう説明する。
「昔の英語学習は、日本語に訳せればよいというところがありましたが、いまの本校の英語では日本語訳の問題に取り組みません。英語を英語で理解する。本校では一貫してこのことを念頭に置いて指導しています。この学校で英語指導に携わる教員はほとんど海外での経験があります。日常に英語があるのは当たり前。ですから、この学校では『グローバル教育』なんて言葉は使いません」
聞けば、頌栄女子学院の図書館には「English Library」が設置されていて、2000冊以上の洋書がそろっている。中学1年生のうちから洋書を積極的に読むように推奨しているそうだ。
■早慶への現役進学率が群を抜く
頌栄女子学院は「出口」の良い学校としても知られている。
週刊誌「AERA」の特集「旧帝早慶上理に現役合格できる高校」(2020年8月31日号)では、頌栄女子学院が早稲田大学への現役進学率において全国第1位、慶應義塾大学へも全国第5位であることを伝えている。2020年度は一般生と帰国生合わせて、早稲田大学に44人、慶應義塾大学に27人が現役で入学した。
進学実績はひとつの参考材料にすぎないとはいえ、同校で過ごす6年間で在校生たちがめきめきと英語運用能力を向上させたことと、大きく関係しているのはまちがいないだろう。