先ほどの高2生は、帰国生の存在が学内の雰囲気に大きな影響を与えていると言う。
「帰国の子たちの多くは開放的な性格です。他人のことを素直にほめるし、ねたむことなど決してしない。そんなところにわたしたちが憧れた結果、いつの間にか学内全体が平和な雰囲気になるんですよね」
■中学卒業までに高校中級レベルの英語力
同校の生徒たちの英語運用能力の高さには、大学受験予備校の講師も舌を巻くほどだ。複数の予備校で英語指導に携わる野澤翔吾氏はこう証言する。
「頌栄の子たちは英文を読むのも速いですし、何より知識が豊富です。ああ、学校の授業で鍛えられているのだなあと感心させられますね」
頌栄女子学院は自校のウェブサイトで在校生たちの「英検」の取得状況を公開している。中2の一般生でも80人近くが準2級(高校中級程度)以上を取得しているなど(帰国生を含めた1学年の人数は200~240人程度)、平均的な生徒であっても中学卒業までに高校中級程度の英語力を身につけていることが分かる。
同校で教鞭を執って10年目になるという英語科教諭の鈴木真紀先生は語る。
「授業の進度は決して速くはないのですが、副教材の『Bridge Work』がかなり深い内容や難解な表現を扱っているので、それで力をつける子が多いです。また、こまめに小テストを実施していて、合格できなかった子には何度も追試をおこなうなどしてケアしています」
■英語を英語のまま受け入れるための海外研修
さらに同校では、在校生たちが英語を一層身近に感じるための仕掛けを用意している。中学校3年生の「カナダ研修」と、高校1年生もしくは2年生を対象にした「イギリス研修」だ(ともに希望者が参加)。カナダ研修では一つの家庭に生徒2人がホームステイをして、現地の学生たちと触れ合う。イギリス研修の前半はイギリスのウィンチェスター大学の寮に滞在してイギリス人大学生の生活を体験し、後半はホームステイをしながら語学学校に通い、世界中の留学生たちといっしょに英語を学ぶという。