「もはやトランプ氏の周囲にいるのはイエスマンだけ。ジュリアーニ氏もその一人です。しかし、バイデン氏を『認知症』と批判するなど偏った言動が警戒されていて、昨年12月には、大統領補佐官がトランプ氏に『ジュリアーニ氏はロシアの諜報(ちょうほう)員がデマを流すルートとして利用されている』と報告しています」
トランプ氏のスピリチュアル・アドバイザーを務めるポーラ・ホワイト氏も批判にさらされている。4日に開いた集会で、トランプ氏を非難する人々を「悪魔の同盟」とののしり、トランプ氏再選のために「アフリカと南米から天使たちが派遣された!」と訴えた。
ホワイト氏は著名なテレビ宣教者で、ホワイトハウスではトランプ政権と保守系キリスト教信者の結びつきを仕切っている人物だ。新垣氏は言う。
「米国の保守的なキリスト教徒は、今までの政治家は自分たちの意見を聞いてくれなかったと思っていて、それがトランプ氏への宗教的とも思えるほどの熱烈な支持につながっています。トランプ氏が選挙に負けても米国の分断は終わらず、修復にはかなりの時間がかかりそうです」
トランプ氏によって米国が受けた傷は深い。本当の敗者は米国の民主主義ではないか。(本誌・西岡千史)
※週刊朝日 2020年11月20日号