イスラエル国家が樹立される42年前の1906年に設立されたベツァレル芸術工芸学校は、世界で最も権威のある美術学校の一つです。 100年以上にわたり、イスラエルおよび世界で、芸術家、デザイナー、建築家の先駆者となる卒業生を、何世代にもわたって育ててきました。現在のベツァレルには、美術、ビジュアルアーツ、建築、陶磁器・ガラスのデザイン、工業デザイン、ジュエリー・ファッションデザイン、写真、ビジュアルコミュニケーションの学部と大学院の学位をめざして勉強している2000人以上の学生がいます。

 一流の「ベツァレル芸術デザイン学校」の新しい建物を設計することは簡単ではありません。SANAAの提案は、複雑な審査を経なければなりませんでした。建設依頼者の期待は、”エルサレムの長い歴史をカプセル化すると同時に、新しい革新的な構造と空間を導入し、変化を刺激するキャンパスを設計すること”でした。キャンパスは歴史的な教会の近くにあり、それらを覆い隠すことはできません。また、エルサレムの市庁舎やその他の大きな公共施設にも非常に近く、彼らと対話する必要があります。さらに、エルサレムの歴史的な景観を維持するために、全体の構造は5階以上の高層建築もあり得ませんでした。もう一つの重要な制約は、エルサレムのすべての建物はエルサレムストーンの石壁で覆われていることが義務づけられていることです。

 SANAAは、これらの要望としてのエルサレムの建築史に適応するだけでなく、新しいものを導入しようとする気持ちを表現したキャンパスを設計しました。この目的のために、SANAAチームは、エルサレム市長、ベツァレルの関係者、エルサレム都市計画委員会、また周辺地域の建物の所有者などと集中的な対話を行いました。エルサレムの歴史、都市に住む人々、そして関連する建設法について学んだうえで設計する必要があったのです。

 テルアビブの建築事務所「ニル・クッツ・アーキテクツ」のオーナーである建築家アリエ・クッツ氏は、SANAAチームの現地パートナーとして、当局(特別都市計画)の許可を得て、計画の初期段階からプロジェクトに同行しています。クッツ氏によると、SANAAチームはキャンパスのニーズとさまざまな制限に非常に順応しており、イスラエルとその文化について知りたいという強い要望を示したそうです。

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