クッツ氏は東京工業大学大学院を修了し、日本語が堪能です。このプロジェクトに取り組むことは、非常に特別なことだと話してくれました。イスラエル日本親善協会会長を務め、2016年には旭日中綬章を受章し、イスラエルの大学で日本建築を教えているクッツ氏にとって、彼の仕事を通じて日本とイスラエルをつなぐチャンスでした。
新しい建物は全体で6階建て(地上4階・地下2階)になります。建物は、エルサレムの山岳地形に似せて徐々に積み上げられたコンクリートの板をベースにしており、自然光がさまざまな方向から入ります。建物全体に外壁はありません。薄いガラスで覆われ、建物の内部からエルサレムのパノラマビューを提供すると同時に、外部を通過する人々が建物の内部を見ることができます。この外部とつながる廊下部分は、日本の家にある縁側の感覚を作り出すためのものです。そしてエルサレムの旧市街の石壁と対話するように、内壁は、エルサレムストーンで覆われます。
40万平方フィートのキャンパスには、図書館、ギャラリー、ワークショップ、教室、スタジオ、オフィス、講堂、カフェテリア、ショップがあります。新しいキャンパスは、学科と学科のコラボレーションを促進し、社会や文化の面で都市の生活に積極的に関与していくことを可能にします。いくつかのギャラリーやスタジオは、ユダヤ人、イスラム教徒、キリスト教徒の出会いを促進する目的で一般に公開され、街の多文化性に貢献する予定です。
日本の建築は過去数十年で広くグローバル化されてきました。丹下健三、黒川紀章、安藤忠雄、隈研吾、坂茂、伊東豊雄などの有名建築家や、藤本壮介、石上純也、佐々木勝敏などの新世代の建築家が含まれます。 SANAAは、イスラエルで大きなプロジェクトを設計した、日本で最初の建築事務所です。うまくいけば、より多くの日本の建築家がこの後に続いて、世界のこの地域に興味を持ち、イスラエルの建築家やデザイナーと協力するようになることでしょう。
〇Nissim Otmazgin(ニシム・オトマズキン)/国立ヘブライ大学教授、同大東アジア学科学科長。トルーマン研究所所長。1996年、東洋言語学院(東京都)にて言語文化学を学ぶ。2000年エルサレム・ヘブライ大にて政治学および東アジア地域学を修了。2007年京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科修了、博士号を取得。同年10月、アジア地域の社会文化に関する優秀な論文に送られる第6回井植記念「アジア太平洋研究賞」を受賞。12年エルサレム・ヘブライ大学学長賞を受賞。研究分野は「日本政治と外交関係」「アジアにおける日本の文化外交」など。京都をこよなく愛している。