道枝:そうですね。去年、ジュニアだけの東京ドーム公演で、SixTONESとSnow Manがデビューを発表して。あのとき、僕のグループ、なにわ男子のリーダーの大橋(和也)くんが「次は俺らになるように頑張ろうぜ」って言って、みんなで円陣を組んだ。あれは、すごく絆が深まったと思います。

井ノ原:いい話だね~。グループだから力にできる。僕らはそんな経験がないから、むしろうらやましい。そこから這いあがれるグループは、日本をもっと明るくできる。期待しています。

道枝:めちゃくちゃうれしい! そうなれるように頑張ります。

■「当たり前」の価値

 コロナ禍のいまだからこそ、「当たり前の日常」の尊さがしみじみと心に染みる、多くの人に届けたい作品になったという。

井ノ原:もし公開時期が1年早かったら、日常を静かに描くこの作品の受け取り方もちょっと違っていたかもしれない。今この時期に観ていただけることは、とても意味のあることなんじゃないかなと思います。

道枝:なんでもない日常が、すごく愛おしく感じると思います。

井ノ原:うん。僕にとって大切な場面の一つに、一樹のライブシーンがあるんです。撮影は去年だから、会場のお客さんが一体化して盛り上がってくれて良いシーンになった。でも、もうしばらくは、あんなに密なシーンは撮れないですよね。「当たり前」にいかに価値があるか。この映画を観て、改めて感じてもらえたらうれしいですね。

(ライター・大道絵里子)

AERA 2020年11月16日号