「あの頃は、地獄のようでした」

 ミーン・ガールズのキャストに決まる前の1年は全く仕事がなかった。不合格のたび、作品に合わないだけなのに自分が全否定された気になった。

「こうすれば不安が解消するというマジックはないけど、私が心掛けているのは、人を頼ることです。勇気を出して『しんどいから話を聞いて』とお願いするようにしています」

 劇場の閉鎖は長期化し、来年5月30日まで続く予定だ。失業手当も1年で切れるため、来春以降は生活の心配もある。

 だが、新たに始めたことがある。日本向けのオンラインレッスンだ。個人で試行錯誤しているため、まだビジネスにはなっていないが、日本からブロードウェーを目指す若者たちの力になりたいと考えている。

「挑戦をあきらめないでほしい。私自身にとっても、ミュージカル以外のことを経験できる貴重な機会になっています。劇場が再開したときに、以前より成長した姿を見せられたらいい」

(編集部・深澤友紀)

AERA 2020年11月16日号より抜粋

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