小規模デイサービス「すまいるほーむ」(提供写真)
小規模デイサービス「すまいるほーむ」(提供写真)

 拙著『介護民俗学へようこそ!』(新潮社)で紹介しましたが、すまいるほーむでは利用者さんから「聞き書き」をしています。人生を振り返り、生きてきた時代や地域の文化伝承について聞く。語る人への敬意が生まれ、場の雰囲気も変わり、介護される人と介護する人の関係は対等になっていくように思います。

 生活の中で、ともに喜び、ともに悲しみ、愛情が育まれるなかで、介護する側が救われる場面もたくさんあります。それを、介護をするのは大変とか迷惑とか、関わりの一部だけで判断しないでほしいし、判断されるべきではありません。

 映画のような社会にならないようにするためには、家族や介護現場で結ばれる個別の関係性にいかに注目していくかが大切ではないかと考えます。

■「絶望の淵の気持ち、変化させたい」

●高齢者住宅などを展開 シルバーウッド代表取締役 下河原忠道さん

下河原忠道(しもがわらただみち)/ 1971年生まれ。現在は石垣島を拠点に活動中。薄板軽量形鋼造の構造躯体販売、高齢者住宅(2022年度グッドデザイン金賞を受賞)の運営、VR認知症体験会の全国展開、VRを活用したダイバーシティー研修、ホテル開発などを行う。
下河原忠道(しもがわらただみち)/ 1971年生まれ。現在は石垣島を拠点に活動中。薄板軽量形鋼造の構造躯体販売、高齢者住宅(2022年度グッドデザイン金賞を受賞)の運営、VR認知症体験会の全国展開、VRを活用したダイバーシティー研修、ホテル開発などを行う。

 将来を担う子どもたちには、この国の繁栄を支えてきた高齢者の大先輩を敬い、大切にすべきだと教えなければならないはず。そこを飛ばして、自分たちの利益を重んじる風潮が広がっている気がします。

 鉄鋼販売事業をするなか、オリジナルのスチールパネル工法を開発しました。その流れで2011年、サービス付き高齢者向け住宅「銀木犀」の運営を始めました。人と人との関係性をどのように育めるかを考え抜いてきました。

 高齢者が集合住宅に住むときは伴侶が亡くなったり、生活に不安を感じていたり、絶望の淵とともに移り住んでくるケースが多いです。いい意味で、そんな気持ちを裏切りたい。変化させたい。

 例えば、食事はできるだけ部屋から食堂に来てもらっています。入居者同士のコミュニケーションが生まれ、生きる意欲につながるからです。

暮らしとモノ班 for promotion
ファン付き作業服や水冷服が12%オフも!スポーツ&アウトドア のおすすめサマーセールでいいもの見っけ♪
次のページ