ポール・マッカートニー&テイラー・スウィフトが対談、今夏コラボ・ステージが実現するかもしれなかったことが明らかに
ポール・マッカートニー&テイラー・スウィフトが対談、今夏コラボ・ステージが実現するかもしれなかったことが明らかに

 米誌ローリング・ストーンが新たに開始した、アーティスト同士による対談企画の第1回目として、テイラー・スウィフトとポール・マッカートニーの会話が2020年11月13日に公開された。

 先月の初めに英ロンドンにあるポールのオフィスで対面した二人は、新型コロナウイルスのパンデミックが始まってから自宅で制作した、それぞれの“自主隔離アルバム”(テイラー・スウィフト『フォークロア』、ポール・マッカートニー『マッカートニーIII』)に込められた思いや、テイラーがポールのコンサートから学んだビッグ・アーティストとしてのスタンスをはじめ、さまざまな話題で盛り上がった。

 テイラーは、ポールとの対談当日に感じた興奮を、「最近は自宅で仕事をすることがほとんどだったので、今日は実際に行きたいと思えるような、珍しい学校遠足のような感覚だった」と文章で振り返っている。しっかりマスクを付け、一人で現場に現れた彼女は、撮影のためのヘアメイクを自分でこなした。撮影は、ポールの娘でフォトグラファーのメアリーが担当し、衣装はもう一人の娘でファッション・デザイナーのステラがデザインした服が使われた(ステラはテイラーの良き友人でもあり、『ラヴァー』のグッズなどでコラボしたこともある)。また、ポールのスタイリングは妻のナンシーが担当しており、まさにマッカートニー家総出でこの企画に協力している形だ。

 78歳のポールは写真撮影が行われている間中、かかっていたモータウンのヒット曲に合わせて陽気に踊ったり歌詞を口ずさんでいたため、メアリーに何回か、「お父さん、ちょっとじっとして!」と叱られるという、家族の仲の良さがうかがえるエピソードもテイラーはシェアしている。また、テイラーのリクエストに応じ、ポールは彼女の好きな歌詞を手書きしサインしてくれたそうで、一生大切にすると彼女は綴っている。
 
 テイラーとポールは、共に今年の夏に開催されるはずだった【グラストンベリー・フェスティバル】に出演予定だった。新型コロナにより、幻となってしまった今年の【グラストンベリー】で、ポールはテイラーにゲスト出演してもらおうと考えていたことを明かしている。テイラーは、「呼んでくださるつもりだったんですか?そうしてくださればいいなとは思っていたんですよ。伺ってみるつもりだったんです」と話している。ポールはテイラーと『シェイク・イット・オフ』を演るつもりだったそうで、「知ってるんだよ、(キーが)Cだよね!」と語っている。

 また、話の流れからポールが、ファンから病気や学校の試験期間などのつらい時期を、自身の楽曲のおかげで乗り越えることができたと言われることが嬉しいと述べると、テイラーもそれを目標の一つにしていると語っている。特に『フォークロア』については、「どっちを向いてもストレスばかりなので、ハグのような、または着たいと思えるようなお気に入りのセーターのようなアルバムを作りたかったんです」と説明している。

 ポールにすかさず、「“カーディガン”のようなってこと?」と返されたテイラーは、「いい感じに着古したカーディガンですね。または幼少時代を思い出させるような何か。悲しみって居心地が良かったりするじゃないですか。もちろんトラウマになったりストレスになったりもしますが、そんなに怖くない程度に包み込まれるような悲しみに身を乗り出そうとしていたんです。“大丈夫じゃない”という感覚に組み込まれた懐かしさや風変わりなものですね。今年は誰もが最高の状態ではなかったと思うからです。隔離されるということは、自分の想像の中にエスケープすることでもあって、それがちょっと良かったです」と語っている。

 テイラーはこの対談で、“Nils Sjoberg”というペンネームでリアーナに楽曲提供したことがあると認めている。ポールも“Bernard Webb”というペンネームでPeter and Gordonに曲を提供したと語り、“Fireman”の名前でプロデューサーのYouthとダンス・アルバムでコラボしたことがあると明かしている。この経緯を話したポールは、「15枚程売れたかな」と冗談を述べつつ、「でも全然それでも良かったんだよ」と振り返っている。

 この話を聞いたテイラーは、「ご自分のためだけのプロジェクトをやってらっしゃることがとてもクールだと思います」と述べた。そして、「私は家族と2010年か2011年にあなたのコンサートを観に行ったことがあるのですが、その公演で一番勉強になったのは、それまで私が観てきた中で最も献身的なセットリストだったことです」と続けている。

 「(観客が)聴いて大喜びするような内容になっていたんです。新曲もありましたが、皆が聴きたいと思うような全てのヒット曲、泣かされたことがある曲、結婚する時にかかっていた曲、失恋した時にかかっていた曲などがありました。その時私は、“これは覚えておかないと”と思ったことを覚えています。セットリストはファンのために演るのだということを」と彼女は述べ、「ラブ・ストーリー」や「シェイク・イット・オフ」を聴きたいと願うファンがいる限り、“自分が3億回演ったことがあるとしても、3億1回目を演るべき”であると学ばせてもらったと語っている。「仕事において、わがままになるべき時もあれば、献身的になるべき時もあって、それが整列する時もあるんですよね」と彼女は述べている。