真意はいったいどこにあるのか──。永田町ではいま、一人の人物の動向が注目されている。
今年9月、持病の悪化を理由に7年8カ月に及ぶ政権運営に終止符を打った前首相の安倍晋三氏。11月11日、久しぶりに表舞台に現れた。自民党の「ポストコロナの経済政策を考える議員連盟」の初会合で、その会長に就任した。
会合に出席した細田派の議員はこう話す。
「安倍さん、めちゃくちゃ元気だった。菅さんの政策を『目先の改革』だと反発する派閥内では、安倍さんの3度目の待望論が出ている」
10月25日には安倍氏が代表を務める保守系の議員連盟「創生日本」の会合が東京都内のホテルであり、加藤勝信官房長官、下村博文自民党政調会長、萩生田光一文部科学相、西村康稔経済再生担当相、稲田朋美元防衛相ら20人余りが集まった。
「この会は安倍さんが2012年に総裁選に立候補したとき、母体になった。安倍さんは“終わった人”と見られる派閥の長になる気はなく、議連など派閥横断的な活動をやる気。引退する気は微塵(みじん)もない」(前出の議員)
菅政権は、世論調査によっては60%を超える高い内閣支持率を得るが、菅氏の党内基盤は盤石とは言いがたい。同氏に近い党幹部は嘆く。
「結局、菅さんが興味あるのは政策よりも人事。朝5時に起きて、6時から人事に関する指示を電話で出す。疲れがたまっているから、官僚からレクを受けても頭に入らない。日本学術会議問題の国会答弁で失敗するたびに安倍待望論が高まるという悪循環だ」
そんな菅氏の経済政策を支えるブレーンたちの評判も悪い。
アベノミクスを引き継ぐとした菅氏だが、政権発足直後には組織を改編。安倍政権下で成長戦略を担った「未来投資会議」を廃止し、「成長戦略会議」を新たに設置した。
その司令塔に選んだのが、小泉純一郎政権で総務大臣だった竹中平蔵氏だ。菅氏にとっては総務副大臣として仕えたかつての“上司”。政府関係者は言う。