オリックスグループが開いた産休・育休中の女性社員向けのオンライン懇談会。赤ちゃんと一緒に参加している人も多かった(写真:オリックス提供)
オリックスグループが開いた産休・育休中の女性社員向けのオンライン懇談会。赤ちゃんと一緒に参加している人も多かった(写真:オリックス提供)
AERA 2020年11月23日号より
AERA 2020年11月23日号より

 育休復帰は誰しも不安なものだが、コロナ禍の今は働き方が激変し、戸惑うことが多い。リモート化が進む働き方を味方につけるにはどうしたらいいのだろうか。AERA 2020年11月23日号の記事を紹介する。

【コロナ禍の育休復帰をスムーズにする5カ条はこちら】

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 新型コロナウイルスの感染拡大で、在宅勤務や会議・営業のオンライン化など新しい働き方が浸透し、育児休業(育休)を取っている人の中には、育休の前後で働き方ががらりと変化する人も珍しくない。そんな中、オリックスグループは今年9月、グループ内主要12社の産休・育休中の社員を対象にオンライン懇談会を開いた。復職支援を目的とした懇談会は2005年から開いてきたが、オンライン開催は初めて。約60人が参加し、仕事と家庭を両立する体制をどう整えるかを学び、数人ずつのグループに分かれて交流した。

 同グループでは、国内の社員約1万人のうち約4600人が女性で、その3分の1が子育て中。懇談会参加者への事前アンケートでは、コロナ禍でコミュニケーションの機会が減ったことや働き方が変化していることに不安を感じている人も少なくなかったという。なかには今年4月に復職を予定していたが、コロナの影響で保育園に預けられずに育休を延長している人もいる。

■育児期の先につなげる

 講師を務めたNPO法人ファザーリング・ジャパンの林田香織理事は、育休中に今後の働き方を考えることを勧める。

「男性の家庭参画に影響する大きな要因が夫婦の在宅時間の格差。女性のほうが、育休取得率が高く、期間も長い。復職後も時短制度などを活用するので在宅時間が夫より長くなり、家事・育児の主担当が女性になる。それを変えたいなら、なんとなく制度を利用するのではなく、働き方を先に決めて、それに応じて制度を活用し、家事・育児を分担すること。育休中に協業体制を話し合いましょう」

 コロナ禍に在宅勤務も広がったが、内閣府の「新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」によると、感染拡大前と比べて家事・育児の役割分担の工夫をした夫婦は約3分の1にとどまっている。林田さんは、「両立体制を構築するポイントは整理、分担、頼る、の三つ」とし、家事・育児項目を整理したら一つ、二つと夫に渡していくことを勧める。それがパートナーの自信につながるとも。

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