築40年を超えるマンションは2019年現在、91.8万戸もある※写真はイメージです((c)Getty Images)
築40年を超えるマンションは2019年現在、91.8万戸もある※写真はイメージです((c)Getty Images)
(図表A)マンションの現状を見極めるための四つのポイント
(図表A)マンションの現状を見極めるための四つのポイント
(図表B)マンション再生の選択肢は大きく分けて三つ。それぞれのメリット、デメリットを考慮して検討しよう
(図表B)マンション再生の選択肢は大きく分けて三つ。それぞれのメリット、デメリットを考慮して検討しよう

 築年数を経て老朽化が気になるマンション。大規模修繕でなんとかなるのか、建替えどきなのか……。四つの要点を軸に判断したい。組合の理事に選任されて困っている人や、運営に頭を悩ませている人の悩みに応える「資産価値を守る!マンション管理・修繕・建替え大全2021」(週刊朝日MOOK)から、抜粋して紹介する。

【高経年マンションの現状を確認する四つのポイントはこちら】

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 日本で分譲マンションが供給されるようになって60年以上が経過しました。2019年現在、築40年を超えるマンションは91.8万戸あり、10年後にはその約2.3倍、20年後には約4.2倍にまで増加するといわれています(国土交通省調べ)。

 1960~70年代に建築された多くのマンションの中には築年数の経過により、さまざまな問題が生じているものが増えてきています。加えて、耐震性能も現行の基準を満たしていないものが数多くあるといわれています。

 また、これまで50~60年が経過するうちに日本人の生活スタイルも大きく変化しました。間取りや居住性などの面でも竣工当時のままでは不都合が生じてきています。

 こうした現状に対し、「何らかの手を打たねば」という問題意識をもつ区分所有者も増えてきています。

 高経年マンションの現状を確認するうえでは、次の四つのポイントが判断の基準になります(図表A)。

 まずは「建物の老朽化」です。外壁のタイルの剥落や、建物内外のコンクリートの劣化によるひび割れなど、建物の傷みの程度や範囲をチェックしましょう。漏水が頻発するようなら、防水層や配管にも問題があると考えられます。

 二つ目は「耐震性の不安」です。81年以前の基準で建てられたマンションでは、現行の耐震基準を満たしていないことが多く、地震に対しての安全性に問題があるものがあります。経年劣化による建物の耐力低下も想定されるので、専門家による耐震診断を行い、どの程度の補強が必要になるのか調べてみましょう。

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