2000年から日本緑内障学会が実施した疫病調査によると、40歳以上で20人に1人、70歳以上で10人に1人がかかっているといわれている緑内障。緑内障による失明を避けるには、早期に病気を発見し、一刻も早く進行を食い止めるための治療を開始しなければいけない。東邦大学医療センター大橋病院眼科診療部長の富田剛司医師は早期発見のための検査を勧める。

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 人間の眼は片方の視野が欠けても、もう一方の眼で補ってみる性質があるので、自覚症状が現れたときには、緑内障はかなり進行しています。現在の医療では、損傷を受けた視神経を元に戻すことはできません。ですから、緑内障の治療がうまくいって眼圧が下がっても、一度悪くなった見え方は回復しないのです。緑内障を早期発見・早期治療するため、40歳を過ぎたら年に1度は眼の検査を受けてほしいと思います。

 緑内障の診断では眼圧、眼底、視野の三つの検査が必要ですが、このうち視神経の損傷を診る眼底検査がもっとも重要です。従来の眼底検査で病気を見つけるには、経験や高い技術の医師に求められてきました。しかし5年前に登場した三次元眼底画像解析装置のおかげで、現在は診断力が標準化し、早期の緑内障の患者もより容易に確実に発見できるようになりました。

 緑内障の種類により治療法は異なります。初期であれば、ほとんどの場合、点眼薬での治療で症状が安定します。1種類の点眼薬で効果が弱いときは薬を数種類組み合わせます。それでも十分な効果が得られない場合はレーザー治療(日帰りで実施できるが、効果が得られる人は3分の1くらい)や外科手術を考えます。ただし閉塞隅角緑内障の場合は、はじめからレーザー治療か外科手術を実施することが多くなります、

週刊朝日 2013年3月1日号