体重計に乗って、少しの増減に一喜一憂してしまう人は多い。そのストレスが、過食や肌荒れなどにつながる(撮影/写真部・外山俊樹)
体重計に乗って、少しの増減に一喜一憂してしまう人は多い。そのストレスが、過食や肌荒れなどにつながる(撮影/写真部・外山俊樹)
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 これまで多くのダイエットが流行しては消えた。いま一番話題のダイエットといえば、「糖質制限ダイエット」。ごはんなどの主食を減らして、大幅な減量に成功した人、いませんか?

 もとは糖尿病患者への治療として始まった「糖質制限食」。1999年から導入している京都・高雄病院理事長の江部康二医師は、その仕組みをこう語る。

「糖質をとると、血糖値が上がり、それを抑えようとインスリンが大量に分泌される。インスリンは『肥満ホルモン』とも呼ばれ、過剰に分泌されるとメタボや肥満などを引き起こす。さらに血中のインスリン濃度が高い『高インスリン血症』は、酸化ストレスを増大させ、動脈硬化や心筋梗塞、発がんのリスクも高める」

 ごはんやパンといった主食や甘いものなど糖質を減らすことで、肥満ホルモンが抑制され、減量につながる。ただ、糖質制限で食事中のタンパク質と脂質の割合が増えるため、肝硬変や腎不全、活動性すい炎の人はやめたほうがいいという。

 自らも糖尿病を発症した2011年前から糖質制限食にしている江部医師は、半年間で10キロ減に。血圧も正常に戻り、現在は体調も検査データも良好だという。

 だが、この糖質制限食、5年以上続けると死亡率が高くなる可能性を指摘する解析結果もある。国立国際医療研究センター病院糖尿病・代謝・内分泌科の能登洋医長らが今年1月、米科学誌プロスワンで発表した。

 糖質摂取量に関して5~26年追跡した海外の論文を分析したところ、総摂取カロリー中、糖質が3~4割のグループは、6~7割のそれと比べて、死亡率が1.31倍だった。

「原因究明はこれからですが、長期にわたる糖質制限ダイエットは寿命を縮める可能性がある。今後、日本でも長期的な調査が必要です」(能登医師)

 提唱者の江部医師は、

「糖質摂取量が全カロリー中の3~4割の『中糖質食』では、食後の血糖値、インスリン濃度が高いままで発がんや動脈硬化のリスクが改善できない。ただ、ハーバード大の研究では、中糖質でも植物性の食品の割合が多いと、死亡率が減少している」

 と反論し、血糖・インスリンが上昇しにくい、糖質が12%の「スーパー糖質制限食」を提唱する。一方、能登医師によると、糖質の割合が減るほどリスクが増える結果も複数あったという。

AERA 2013年3月4日号