※写真はイメージ(gettyimages)
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 働く親にとって命綱の保育園。入園を巡っては毎年激しい“保活”が繰り広げられてきた。だが、今年はコロナ禍のなか、感染リスクを冒してまで入園していいのか、親たちは悩んでいる。AERA 2020年12月21日号の記事を紹介。

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 たとえ入園できたとしても、園生活における不安が消えることはない。そして、何より先が見えない。コロナ禍で子どもと自分の未来を選択していくことの難しさはそこにある。

 今年4月から希望する園への入園を果たすも、あえて復職時期を遅らせた人もいる。

 港区在住の会社員の女性(41)は昨年4月に第1子を出産。0歳での入園を試みたところ、無事に入園が決まった。今年4月から復職する予定だったが、その矢先、コロナ感染が広がった。港区は3月に休園届の申請の受け入れを開始し、4月には6月末までの登園自粛要請を発表した。女性は言う。

「コロナの感染が怖かったのと、幸い育休の延長ができたため、6月までの休園届を申請しました。入園式に出席することもできませんでしたが」

 7月から復職の予定だったが、コロナの流行は一向に収まる気配をみせない。休園申請を延長するかどうか、夫婦で話し合いを重ねた。コロナの感染を恐れる一方で、ほかの同級生の子どもたちが徐々に登園を再開する様子を見て、夫が“焦り”を感じ始めた。

「毎日、母親と二人で過ごすよりも、保育園に行ったほうが友だちや先生との関わり合いが増え、心身の発達につながるのではないか、と夫は考えていたようです。そのほうが、子どもにとってもいい環境だろう、と」

 とはいえ、女性自身は復職と保育園への登園にためらいはあった。休園申請はひと月ごとだったため、毎月夫婦での話し合いの場がもたれた。月末を迎えるたびに、「来月も育休を取ります」と会社に連絡を入れるのも面倒に感じたという。

■ワンオペ育児に限界

 だが、最終的に9月からの入園を決めたのは、「ワンオペ育児に限界を感じたから」。3密を避け一日2回は公園などに散歩に行っていたが、夫はテレワーク中心ではなかったため、平日の子育てはどうしても女性が中心となる。子どもが歩きだすようになると、家のなかで多くの時間を過ごすのは難しい、と感じるようになっていた。

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