■ナイナイは「最後の大物芸人」

 10月に一般女性と結婚したことを公表した岡村だが、長く染みついた“恋愛下手”というイメージは今でも健在だろう。

「若者を中心に人気がある恋愛リアリティ番組ですが、意外と既婚女性や高齢者の視聴者も多く、誰でも見られる一大コンテンツとして成長しています。ナイナイは知名度も安定感があるので適任なのです。恋愛系番組では特に“まわし”が重要になってきます。出演者たちの状況を的確に代弁してくれるMCやゲストが不可欠で、視聴率を左右します。冠番組を多数持つことになった芸人がMCになっていくケースが多いですが、ただ単に司会に回ったわけではなく、出演者の発言を受けて即興で笑いにつなげる高い技術がいるのです。こうした意味で、ナイナイさんはちょうど矢部さんと岡村さんのボケとツッコミのバランスがよくとれています。岡村さんが出演者の発言を受け流してしまったとしても、矢部さんがフォローして受け皿になったりするので、絶妙な塩梅です」(前出の放送作家)

 お笑い評論家のラリー遠田氏はナイナイについてこう評価する。

「テレビの影響力が年々低下していて、国民的なスターが生まれなくなっている中で、ナイナイは“最後の大物芸人”と言える存在。岡村さんのキレのいいコミカルな動きのボケに対して、矢部さんの冷静なツッコミが重なるコンビネーションが絶妙です。彼らは大阪で活動を始め、東京に進出してすぐに人気を獲得し『ぐるナイ』『めちゃ×2イケてるッ!』という2本のレギュラー番組を中心にして、テレビの世界で不動の地位を築いていました。一方、深夜ラジオの『オールナイトニッポン』もコアなファンに支持されていて、一般大衆からお笑いマニアまで幅広い層に愛される稀有な存在です。近年はコンビとしての活動が減っていたことを不安視する声もありますが、ラジオでの舌禍を契機に、コンビとしてのラジオ番組が復活しましたし、岡村さんは一般女性と結婚をして私生活も充実しています。2人とも既婚者となったことで、安心感のある大人の芸人として、これからますます活躍していくでしょう」

 岡村はNHK「チコちゃんに叱られる!」でいまも高い人気を誇っており、矢部の方も、スポーツ専門配信チャンネルDAZNで「やべっちF.C.」を事実上復活させている。2020年は紆余曲折を経た一年となったナインティナイン。現状のMC番組がしっかりうけて、来年は再び圧倒的な存在感を示してほしいところだ。(黒崎さとし)