球団ワースト記録は、長嶋茂雄監督時代の75年の「11」。これに並ぶのだけは御免と、6月6日の西武戦に菅野をぶつけたが、5対8で敗れ、ワーストタイ。翌7日も0対3と完封負けし、ついに84年間にわたる球団史上初の12連敗となった。

 そして、同8日の西武戦、高橋監督は、坂本勇人を13年以来の2番に起用して打線の奮起を促したが、被安打13、失点13の2対13で敗れ、13連敗という悪夢の「13」つながりで、ワースト記録を更新する羽目に……。

「みんなが何とかしようという思いでやっているのは、間違いない。ただ、こういった中でも、結果を残していくのが、プロ野球選手の仕事。現実として受け止めないといけない」と指揮官も沈痛な表情だった。

 6月10日の日本ハム戦で、ようやく2番・坂本の起用が当たり、1対1の5回に値千金の勝ち越しタイムリー二塁打。2対1の辛勝でようやく連敗を止め、高橋監督も「ひとつ勝つのは大変だね」とひと息ついた。

 同年の巨人は、チーム防御率がリーグ2位の3.31、失点もリーグ最少の504にもかかわらず、球団史上ワーストの併殺打129と攻守がかみ合わず、首位・広島と16.5ゲーム差の4位。CS導入以来、13年間で唯一進出を逃している。
  
 とはいえ、これらの屈辱をバネに、巨人がいずれも後に復活を遂げたように、どんな苦難があっても、陽はまた昇るのである。(文・久保田龍雄)

●プロフィール
久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍「プロ野球B級ニュース事件簿2020」(野球文明叢書)。

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久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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