特にうれしいのが、当事者以外の人が利用して、障害がある人の存在に気付く瞬間だという。
「意識の変容のきっかけを作っている。意識が変われば行動も変わる。世の中が少しでもいい方向に向くかもしれない」(同)
■靴は19.5センチから
マルイは若者向けファッションの専門店というイメージが強いが、16年から社の掲げるミッションに「すべての人」の言葉を入れ、店舗でも性別や年齢、身体的特徴にかかわらない商品展開やお店作りを進めてきた。自社ブランドのサイズ展開も豊富で、例えば女性靴は19.5~27センチと驚くほど幅広い。体の性と心の性が一致しないトランスジェンダーなどLGBTQ向けの就活支援も行ってきた。
「みんなのフィッティングルームには、九州や北海道からわざわざ来てくださるお客様もいて、マルイを選んでもらうきっかけになっています」(須藤さん)
ブランドコンサルタントでファッション業界に詳しい守山菜穂子さんは言う。
「誰一人取り残さないというSDGsの理念が社会に浸透する中で、積極的にメッセージを発信しているブランドはファンが増え、企業の価値も増す。逆にそれができない企業は取り残されます」
(編集部・深澤友紀)
※AERA 2020年12月28日-2021年1月4日合併号より抜粋