今年12月、野球界のレジェンド・イチローが智弁和歌山高校の野球部を指導したことが話題となった。世界中の野球ファンが、今もなおイチローの動向に注目する中、記者はある男の存在が気になった。モノマネ芸人として活動するニッチローだ。
【写真特集】クオリティが高すぎる!ニッチローのイチローモノマネはこちら
ニッチローは、野球ファンの間では、よく知られた存在だ。野球関連のバラエティ番組で初めて知ったという人も少なくないだろうが、知名度が一気に高まったのは「細かすぎて伝わらないモノマネ選手権」。クオリティの高いモノマネに、石橋貴明、有田哲平は「ずっと見ていられる」「やっている事はすごく細かい」と大絶賛。初登場で、いきなり準優勝に輝き、強烈なインパクトを残した。
「イチローさんは僕にとっては神以上の存在。イチローさんのモノマネをし始めてから自分自身も成長できた」
2019年3月に行われた引退試合から、もう600日以上が経過した。モノマネ芸人として、つねにイチローを見続けてきた男は、あの「引退」をどのように見ていたのか。イチローへの特別な思いやモノマネを始めることになったきっかけ、これからの目標などの貴重なお話をAERA dot.に明かした。
* * *
――イチローさんの「引退」が発表された瞬間は、どのようなお気持ちでしたか?
最初、「引退」という速報が出た時は、時間が止まったように感じました。信じられないというか、ほんと頭が真っ白っていうのはこういうことなのかなって。その瞬間は、今でもうまく思い出せません。あの日は、たまたま愛知県で仕事があって、速報が流れてきたのは、東京に戻る新幹線の中だったと思います。何日か前から、引退するのではないかという話は飛び交っていましたが、確定した情報が出ていなかったので、信じないようにはしていました。きっと、イチローさんは背番号と同じ51歳までは現役を続けるはずだ、そんなことを勝手に考えていたりもしていたので、あの瞬間は、「いや、嘘でしょ?」って。寂しさっていう感情にはすぐにはならなくて、なんか、ふわふわしたような不思議な感覚でした。引退試合の場所は東京ドームだったので、「早く東京に戻って、少しでもイチローさんのそばにいきたい」、そんな風に思っていたのを覚えています。たぶん、あの瞬間は僕だけじゃなく、みんなそうだったんじゃないですかね。